溺死する深海魚


どうしようもない深海の底で
一筋の光を見た

あなたは
酷く躊躇った指を持つ
苛立ちを含んで
私を愛する
触れない肌を
想うかい

怒るあなたが好きだった
私を傷つけまいとするあなたを
傷つけるのが好きだった

泣けば
終わりだと
気付いていたのに

肌に沁み込んだ
あなたのにおいが
髪に染みついた
あなたの汗が
たまらなく
悲しい

どうしようもない深海の底で見た光は
あぁ酷く私を落ち着かせたけど
ごめん 私 泳げなくて
だから 光が見えても つかめないから
だから 私 だから また
(溺死する深海魚)