まぬけが君を呼ぶ。


そこにあるのに
手が届かないんだね
見えない壁が阻むんだね

白く儚い百合が嫌いだった
君に似合わないから嫌だった

爪を切りそろえたのは
もう誰も傷つけたく無いから
爪の間の血が固まっていくのが
我慢出来なかったから

日が経った百合は
アルコールの匂いがする
廃棄された分だけ
おかされていく空気

酔った頭じゃ
視線すら覚束ないのに
壁越しに君を呼ぶ
気づいたら笑って欲しい
百合を捨てて来て欲しい

切りたての爪はまだ危ないけど
こびりついた血はまだとれないけど
酔った僕はまだ
君を夢見るから