純文学


敵わないね
その嘘みたいな
硝子の視線も
真っ白の柔い傷跡も
まるで神聖の証
汚れなき
貞操の証

処女膜を破るみたいな
大袈裟な決意と呆気なさ
放課後
膝を抱えて丸くなって泣いた
あの鮮血に潜む悪意

赤黒い
染まる手のひら
敵わないね
夢のひとひら
欲情する暇だって無い
完璧な純文学ラヴ・ロマンス

静寂を求めて喘いだ声が
闇夜に溶けて歌いだす

耳を押さえて拒絶しても
きっと朝は来るの
血の海に寝転がってごっこ遊び
此処に居ない何かを求めるの

愛を作れば
赤ん坊が出来るかな
神聖を偽る鮮血も
赤黒い貞操も
簡単に敗れた処女膜も
あの青に溶ける

静か
抱擁して
ラブ・ロマンス